No.28 2005.04.08
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■ 観光情報学会 Mail NEWS ■
━━━━━━━━━━━━ www.sti-jpn.org ━━━ 2005.4.8 No.28
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□ 書評 額賀 信「観光革命-スペインに学ぶ地域活性化-」
日刊工業新聞社(2004)
北海道大学大学院経済学研究科 関口恭毅
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■ 観光情報学会 第2回 全国大会 開催案内
日 時: 平成17年5月16日(月)
場 所: リザンシーパークホテル谷茶ベイ
(国頭郡恩納村字谷茶1496)
詳細はこちら↓
http://www.eva.ie.u-ryukyu.ac.jp/~tnal/kanko/event/20050516/
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■ 書評 額賀 信「観光革命-スペインに学ぶ地域活性化-」
日刊工業新聞社(2004)
北海道大学大学院経済学研究科 関口恭毅
労働力人口減少の影響を極力弱め、しかも、さらに地域経済を発展さ
せる原動力の一つとして観光を位置づけ、観光産業振興を推進する上で
の課題を論じている。著者はちばぎん総合研究所の所長を務める元日銀
神戸支店長でオックスフォード大学経済学修士(M.Phil)である。
製造業では経済の活性化は可能であっても、地域の活性化は困難であ
ると考える著者は、観光産業の振興こそが地域の人口(定住人口+交流
人口)を増大し、地域における消費を拡大する大きな効果を持つと説く。
観光(産業の振興-評者補足)を(1)地域の魅力を高め、(2)ヒトを引き
つけ、(3)所得を確保することであると定義する著者の思想には共感でき
るところが多い。
第1章では、伝統的には施設・設備の整備による国内消費の贈大のよる
内需拡大を狙っていた観光振興が、最近は環境保護と外国人観光客誘致
による国・地域作りを基本に据えている。従って、国や地域の行政が国
際競争力を持つことが必要になっていると説く。
第2章では現在のような需要力不足時代の人口減少では、需要拡大が経
済活性化、地域活性化のキーポイントであるとして、観光による交流人
口の増大こそがその解決策として期待されるとする。第3章は、本書の
最もおもしろい部分であろう。観光産業の経済波及効果はほとんど全産
業に及び、雇用増大効果も大きいことが示される。昨今、我が国では所
得分配を課題とする論調が主流であるが、所得創出こそ目指されるべき
である。観光によりそれを実現するには魅力ある地域作りこそ重要であ
る。などが論じられる。
第4章は観光立国先進国としてスペインに注目し、その振興策に学ぼう
としている。そこで注目されることは、観光統計はスペイン観光を支え
る最も基本的なインフラである、と有効な観光政策にとってのデータ整
備の重要性を指摘している点である。スペインでは、翌月の20日までに
観光客数、国籍、宿泊日数などが公表され、観光収入額も2ヶ月半遅れ
で公表されるという。
以上のように、本書は地域振興と情報技術の側面から観光を考えるよい
ヒントを与えてくれる。最後に、本書の章と節の標題を示しておく。
序章 観光が広げる可能性
第1章 大競争を勝ち抜く観光立国
1 観光事業の再出発と「大競争」
2 サービス産業が決める日本の未来
3 観光は地域発展の推進力
第2章 人口減少社会を救う交流活力
1 人口減少社会の到来
2 神戸が示した人口減少の痛み
3 人口減少の経済学
第3章 持続する観光効果
1 観光の経済効果
2 始まった観光立国推進の動き
3 「観光」を定義する
第4章 スペインに学ぶ観光立国
1 行動する観光大国
2 一人二役が広げる可能性
3 観光推進上の問題点と行政の役割
あとがき
(以上)
━TOPICS━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□国内の動向
観光と情報に関する話題を紹介します.ここで紹介した話題がござい
ましたら,編集担当(hajime@do-johodai.ac.jp)までご連絡ください.
(掲載の判断は編集担当が行います.商業目的のダイレクトメール,
もしくは,それに類する内容は掲載できませんので,あらかじめご承
知おきください.)
"観光メカニズムに新たなメスを入れる観光情報学会がダイナミックな活
動をスタート",週刊ホテルレストラン HOTERES、2005.4.8号
*観光情報学会の活動を紹介。北海道から「観光情報学会」が産声を上げ
た。産学官零系の観光振興という新しい視点に立った同会の最近の動きを
ドキュメントする。
"CATV19局がIP伝送により観光情報などの番組流通を開始",NIKKEI NET,
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=97304&lindID=5
"中国地域観光推進協議会が中国地方の観光情報をHPで発信", 中国新聞,
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn05032907.html
"旅先にちなんだ電子書籍を携帯電話で配信", ケータイWatch,
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/23369.html
"自治体向け携帯電話サイト・ニュース配信システム", japan.internet.com,
http://japan.internet.com/public/news/20050311/5.html
"x64版Windows XP/Server 2003を開発完了", gooニュース,
http://news.goo.ne.jp/news/pc/it/20050408/pw2005040805-pc.html
"手書き文字+音声、容易に送信 新メールソフト", 北海道新聞,
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20050405&j=0029&k=20050404...
"ON-LINE ネット競売 新手の詐欺", YOMIURI,
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20050309ij31.htm
"未知のウイルスまでカバーするセキュリティー保険", NIKKEI NET,
http://it.nikkei.co.jp/it/column/zensen.cfm?i=20050221c7000c7
□海外の動向
Ph.D. Funding Opportunity eTourism - Deadline April 22
as part of Queen Margaret University College, Edinburgh's annual Ph.D.
funding scheme, there is the opportunity to apply for Ph.D. work in
eTourism. More details you will find on the IFITT website (see below)
and all documents related to this will, depending on the source server,
be attached, or alternatively, may either be downloaded from the
university website or obtained directly from
afrew@qmuc.ac.uk.
(eTourism Ph.D.助成のご案内 締め切りは4月22日となっております.)
http://www.ifitt.org/
http://secure.tiscover.com/sixcms/media.php/98/phd_funding_opportunity.pdf
━企業・団体会員リスト━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
株式会社HBA
株式会社J-時空間研究所
NECソフトウェア北海道
セントラル・コンピュータ・サービス(株)
(株)デジック
(株)リクルート北海道じゃらん
札幌総合情報センター(株)
(株)十勝毎日新聞社
株式会社電通北海道
(株)藤井ビル
日本スーパーマップ株式会社
日本ユニシス(株)
日立ソフトウェアエンジニアリング(株)
(株)日立東日本ソリューションズ
富士通株式会社
北海道コンピューターマッピング(株)
北海道テレビ
北海道新聞社
北陽ビジネスフォーム
(五十音順)
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