No.31 2005.06.14
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■ 観光情報学会 Mail NEWS ■
━━━━━━━━━━━━ www.sti-jpn.org ━━━ 2005.6.14 No.31
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□第2回全国大会の観光情報学研究会の活動報告会に参加して(下)
北海道大学大学院情報科学研究科 川村秀憲(会員)
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■第2回全国大会の観光情報学研究会の活動報告会に参加して(下)
北海道大学大学院情報科学研究科 川村秀憲(会員)
にせこ観研からは脇山主査より報告がありました.にせこ観研のメ
ンバーを主体として行われている観光地倶知安戦略会議について,ニ
セコ地区へのITインフラの整備や,BSCを観光を使ったまちづく
りに応用するための方法,信頼にたるデータの集積と分析の研究,倶
知安における観光案内のモデル構築などについて活発に議論を行って
いる様子が報告されました.また,インターネット動画配信による情
報発信,お客様に喜ばれる印刷物の作成,観光ポータルや事業者のサ
イト構築を目指したNPO法人 Niseko Information Worksの発足に
ついて,説明がありました.
はこだて観研では,鈴木幹事より活動状況についての報告がありま
した.現在はこだて観研では,学生を含め63名の参加者がおり,定
期的な研究会やシンポジウムを実施している状況について報告があり
ました.研究会では,函館を訪れる観光客の「生の声アンケート」を
実施し,函館が抱える様々な問題点を明らかにするとともに,その結
果を交通分科会や函館山分科会での研究に役立て,今後の函館観光の
あり方について研究をいるということです.また,函館の観光コンテ
ンツとその魅力を実際に体験するために,函館観光の調査会を行った
そうです.多くの旧跡を含む観光ポイントを実際に巡ることで,研究
会参加者が函館観光を見直すよいきっかけになったようです.はこだ
ては日本が抱える有数の観光地であるとともに,その規模やコンテン
ツなどを含めて,観光情報学の研究モデルケースとして最適であると
思います.今後,はこだて観研からは,情報学を基礎とした観光ビジ
ネスモデルなどが続々と期待できそうです.
スノーリゾート観研からは,劔持主査が活動報告を行いました.報
告では,スキーマップル編集長によるスキー場とその近郊の情報発信
の悪さの指摘を受けて,WEBとして発信するための検討会を行って
いることが説明されました.さらに,客が10年前の7割減にもなっ
ているスキー場業界不況の状況説明と,現在スキー場の身売りに関す
る調査が増えていること,そしてその調査が土地・施設の資産価値調
査から全体的な調査・お金を稼ぎ出す可能性の調査へと変質している
現況について説明がありました.また,様々な研究調査を実施してい
くにあたって,学会活動・研究会活動が無料のボランティアと勘違い
されてしまう現状があることについて報告がありました.大学や研究
機関は様々な研究テーマに対して関係省庁や機関などから研究費を受
けて研究活動を行いますが,観研のような活動母体が今後どうやって
持続的に研究を進めていくのか,考えていく必要があると思いました.
設立されたばかりのかが・のと観研からは,大藪主査が発足の経緯
と今後の活動計画について説明しました.特に,今後は5つの研究
プロジェクトについて積極的に研究を進めていくそうです.まず,
加賀・能登にある数多くの歴史的な名所や文化人ゆかりの地および碑の
観光資源活用法を検討する「旧跡・名所・文学ツーリズム研究プロジェ
クト」や,加賀・能登の代表的な8つの温泉郷を対象に,これまでの団
体宴会主体の温泉旅行から体験・発掘型のものへ移行し,リピータを
発掘する「温泉ツーリズム研究プロジェクト」,「携帯電話による観
光案内システム研究プロジェクト」,「ホテル旅館点検評価研究プロ
ジェクト」,そして,農林漁業振興に貢献する体験型観光であるグリ
ーンツーリズム,持続可能な社会づくりと自然資源保全を目的とした
エコツーリズム,ボランティアが障害者とともに旅を楽しむ福祉ツー
リズムなどを推進する「グリーン・エコ・福祉ツーリズム研究プロジェ
クト」などについて,積極的に推進していくそうです. これらの研究
テーマは他の観研と共通するものも多く,学会を通じた観研間の情報
交換や連携などによって積極的に全国展開可能な研究となると期待で
きます.
おきなわ観研からは,大会実行委員長でもある遠藤幹事より活動報
告について説明がありました.おきなわ観研は現在106名のメーリ
ングリスト登録者がおり,観光情報学会らしくメーリングリストやweb
を通した議論・情報交換を積極的に行いながら,強力に研究活動を進
めている状況が報告されました.特に,琉球大学の観光学科設立の際
のアンケート調査,そしてそれをもとにした調査報告書の作成につい
て説明がありました.日本全国の大学で観光に関する学科や学部,大
学院を設置する動きがある中で,おきなわ観研がおこなった調査や活
動は大いに参考になると思われました.また,琉球大学の研究成果発
表を含めたミニシンポジウムも実施し,研究内容を広く発信している
様子が伝えられました.
飛行機の遅れで観研の活動報告には間に合いませんでしたが,後に
ゆざわ観研の岸野主査より,新潟中越地震におけるゆざわ地区の状況,
および風評被害についての説明がありました.風評被害の防止につい
てITによる情報交換や情報発信の効果が大きかったことなどについ
て報告がありました.
今回の全国大会での各観研の報告を聞いて,全国の観光地で抱える
テーマの共通性がたくさん見えてきました.学会設立の趣旨のひとつ
に,全国各地で行われている観光振興に関する草の根活動をボトムア
ップにつなぐ役目としての存在価値を持つことがあります.各観研の
活動が活発になるにつれて,この意義はどんどん重要になってきてい
ると思いました.特に,ゆざわ地区における風評被害の防止と対策に
おける全国の観研の連携や,ホテル評価,障害者の旅,生の声アンケ
ートなど,全国的に応用できる研究テーマについての今後の展開が期
待できるものが多数あります.全国の観研に共通するテーマを数多く
見いだせたと言うことは,観光情報学が学問としてまさに成立しつつ
ある現状を反映しているのだと思います.今後,ますます観光情報学
会が発展していくことを確信させる報告会でした.
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■ 事務局からのお願い(年会費等のお振り込みについて)
いつも学会の運営にご協力頂きまして,誠にありがとうございます.
年会費等のお振込の際,正会員は個人名,団体会員は団体名でお振り
込み頂きますよう,よろしくお願い申し上げます.
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□国内の動向
観光と情報に関する話題を紹介します.ここで紹介した話題がござい
ましたら,編集担当(hajime@do-johodai.ac.jp)までご連絡ください.
(掲載の判断は編集担当が行います.商業目的のダイレクトメール,
もしくは,それに類する内容は掲載できませんので,あらかじめご承
知おきください.)
"野外芸術で観光振興を 本郷新生誕100年でシンポ 美術館活用策など探る",
北海道新聞,
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20050613&j=0019&k=20050613...
"GPS携帯の写真をWeb地図上に表示するソフト",IT media BizMobile,
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/mobile/articles/0505/30/news093.html
"釜石の観光情報満載 協会がHP開設",岩手日報社,
http://www.iwate-np.co.jp/economy/e200505/e0505196.html
"「観光都市」へ道まだ長く(上)",asahi.com,
http://mytown.asahi.com/akita/news01.asp?c=11&kiji=105
"北海道観光サミット:官民で競争力強化 新組織が誘致戦略",MSN-Mainichi
INTERACTIVE,
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/hokkaido/news/20050524ddlk010400140
00c.html
"知財権侵害の罰則強化、懲役の上限を10年に・政府計画", NIKKEI NET,
http://it.nikkei.co.jp/it/news/index.cfm?i=2005061009903j0
"電子メール:米大企業の6割が従業員監視要員を配置", MSN-Mainichi
INTERACTIVE,
http://www.mainichi-msn.co.jp/it/network/news/20050608org00m300081000c.h
tml
"Javaアプリを高速化、Excelsior JET for Linux新版販売", Yahoo! NEWS,
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050610-00000066-zdn_ep-sci
━企業・団体会員リスト━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【団体会員A】
(株)HBA
(株)J-時空間研究所
NECソフトウェア北海道
札幌総合情報センター(株)
日本ユニシス(株)
日立ソフトウェアエンジニアリング(株)
(株)日立東日本ソリューションズ
富士通(株)
(株)北海道新聞社
北陽ビジネスフォーム(株)
(五十音順)
【団体会員B】
(株)デジック
(株)リクルート北海道じゃらん
(株)十勝毎日新聞社
(株)電通北海道
(株)藤井ビル
日本スーパーマップ(株)
北海道CMC(株)
北海道テレビ放送(株)
(五十音順)
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