No.8 2004.01.31
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■ 観光情報学会 Mail NEWS ■
━━━━━━━━━━━━━ www.sti-jpn.org ━━━━━ 2004.1.31 No.8
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□ 開催案内 はこだて観光情報学研究会 第1回シンポジウム
1.日 時 平成16年2月9日(月) 15:00~17:00
2.場 所 花びしホテル(函館市湯川1-16-18)
□ 事例紹介
1.インターネットを使った新予約システム -乗客同士でチケット融通-
2.公式HP検索サイト「オフィシャルゲート・ドット・コム」
□ ENTER2004 参加ルポ
北海道大学 山本 雅人(理事)
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■ 開催案内 はこだて観光情報学研究会 第1回シンポジウム
はこだて観光情報学研究会では,下記のように第1回シンポジウムを開催
いたします.本研究会は函館地域における産官学連携による観光振興へ向
けた情報提供・収集,議論,研究推進をはかることを目的としており,ま
た全国組織として発足した観 光情報学会を通じて他地域の観光情報学研
究会と相互交流,情報交換活動を展開していくものです.
第1回シンポジウムとして,観光情報学会の動向紹介,産官学それぞれの
立場からの情報提供,研究紹介,全国大会へのご案内,今後の活動に関す
る議論を行っていく予定です.
ぜひ積極的なご参加をお願いします.
記
1.日 時 平成16年2月9日(月) 15:00~17:00
2.場 所 花びしホテル(函館市湯川1-16-18)
3.参加費 1000円 会場にて受けたまります.
4.プログラム予定
I.開会
Ⅱ.研究会推進に向けて
(1)観光情報学会 副会長 北山 憲武((株)ツアーネット)
(2)来賓挨拶
Ⅲ.研究プロジェクトの報告-公立はこだて未来大学
(1) 函館駅前流動調査
(2) 観光用地図自動作成に向けたデフォルメ地図の自動生成
(3) PDAシステムによる観光案内システムの開発
(4) その他
Ⅳ.今後の研究会における取り組みについて
(1) 第1回観光情報学会 全国大会ご案内
(2) ディスカッション
Ⅴ.閉会
5.シンポジウム終了後,同会場にて懇親会を予定しておりますのでご参
加ください.
懇親会 会場:花びしホテル 17:00~19:00
会費:4000円 会場にて受けたまります
6.参加資格 ご興味がある方はどなたでもご参加ください.
シンポジウム実行委員長 公立はこだて未来大学 松原 仁
大会事務局 公立はこだて未来大学 鈴木恵二
TEL: 0138-34-6229
FAX: 0138-34-6301
e-mail: suzukj@fun.ac.jp
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■事例紹介
本学会の議論を踏まえて開発された2つのシステムを紹介します.
1.インターネットを使った新予約システム -乗客同士でチケット融通-
満席の飛行機や列車などのチケットを手に入れやすくなる.例えば,急な
用事でどうしても満席の飛行機に乗りたいAさんが,ネット上に便名やチ
ケットを購入する割増分の金額などを登録する.情報が該当する便の予約
客にメールで配信され,希望者(Bさん)が名乗り出ると,2人の予約が変更
される.割増分はBさんの料金から値引きされる.Aさんは希望するチケッ
トを手に入れることができ,Bさんは正規料金より安く登場することがで
きる.譲渡に伴う料金は交通機関が自由に設定できる.
譲り手は必ず別の便に変更することを利用条件とするため,不正に利ザヤ
を稼ぐダフ屋行為を防ぐことができる.販売元にとっても需給の波を調整
し,顧客を逃さないメリットがある.システムは既存の予約システムに付
加して使用できる.航空機や列車など交通機関のほか,ホテル,イベント,
公共施設などさまざまな分野に応用できる.
2.公式HP検索サイト「オフィシャルゲート・ドット・コム」
地名や郵便番号,電話番号などを入力すると,インターネット上から公式
HPだけを収集.約9割の確率で情報提供が可能.2月から宿泊施設に特化し
たサイトを試験的に開設し,4月から本格運用を始める.病院やゴルフ場
などの検索サイト開設も計画している.
(1,2のシステムは双方とも北海道大学の大内研究室とソリューションテ
クノロジーが開発.ただし,2は日立東日本ソリューションズとの共同開発)
[関連記事]
"インターネット使った新予約システム開発",札幌タイムス,p1,2004/1/14
"北大発VB 乗客同士でチケット融通 仲介システムを開発",日本経済新聞
(朝刊,道内版),p29,2004/1/10
"宿泊施設の公式HP 全国の9割網羅 北大発VBが検索サイト",日本経済新聞
(朝刊,道内版),p33,2003/12/13
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■ ENTER2004参加ルポ
北海道大学 山本 雅人(理事)
1月26日~28日まで,エジプトのカイロで開催されたENTER2004という
会議に参加してきました.ENTERというのは,International Conference
on Information technogoly and Travel & Tourismという名称で,情報
技術と旅行・観光に関する国際会議です.今年11回目の開催を迎えました.
主催は,IFITT(International Federation for IT and Travel & Tourism)
という団体が主催しており,観光と情報技術の融合を目指した活動を行って
いる世界的な団体です.
以下では,この会議の様子などを旅行記風に堅苦しくなく報告させて頂こうと
思います.
□カイロ到着まで
私のENTER2004の参加は,出発三日前の39度ほどの高熱を出したことから始まり
ました.丸一日寝込んで熱は下がったものの,咳と喉の痛みが残っていため,
出発をためらいもしましたが,咳も収まり何とか大丈夫そうだったので薬と
冷えピタ(簡易型ひょうのう?)を持って旅立つことにしたのです.
札幌から羽田まで1時間半,羽田から成田へはバスで1時間,成田からイタリアの
ミラノまで12時間,ミラノからカイロまで4時間,それぞれの待ち時間を入れると
丸一日以上のハードな移動でした.おかげで体調は最悪の状況となって,咳と喉の
痛みに加えて,頭も猛烈に痛くなってきました.カイロに着いたのは,夜中の
1時30分でしたが,外は多くの迎えの人たちでにぎわっていました.
空港から出る直前に,"I'm Official! Official!" としつこい旅行代理店風の
おにいさんに声をかけられ,そして,捕まり,すったもんだのあげく,タクシーを
手配してもらう羽目になりました(実際にはタクシーではなく,その代理店が
個別に抱えているドライバーのようで,少々ぼったくられたようだったのですが
後で考えるとそんなに高額でもなく,まあまあ悪くはなかったです).どうやら,
ビジネスで来ている,ときちんと言わないと結構高額なツアーを紹介するという
ガイドブックに載っている手口のようでした.私はビジネスだ,と強く言ったので
じゃあ,タクシーだけということで大丈夫でした.
何はともあれ,無事にホテルにチェックイン.くたくたに疲れたのと,最悪な
体調のためすぐに床に着きました.まさかそのときは,これから丸2日ほど
寝たきりになろうとは思っていなかったのですが...
□会議
会議は,ホテルからバスで15分程行った(後に述べるが朝は渋滞がないので)ところに
あるコンベンションセンターで行われました.センターは厳戒態勢で,門には警察な
どの車両が並んでいて,すべての出入りが警察によって管理されていました.このコ
ンベンションセンターの柵に囲まれている様子は,ちょうど沖縄などの米軍基地をイ
メージさせました.入門チェックの後,中まで入っても建物の中に入る際は,手荷物
検査(飛行機に乗るときのような)があるほどでした.
この会議は,トーマス・クックという有名な旅行代理店がすべてを引き受けており,
会議の登録から,ホテル予約などを行っていました.通常,日本の学会などでは,
初日の受付が大変混雑するのですが,事前登録者が多かったせいか,今回は非常に
スムーズに行っていたように思いました.コンピュータ上で名簿を管理し,名前を
聞いて検索,名札の印刷,プログラムや論文集などの受け渡し,という一連の作業
を約30秒ほどで完了でき,見習うべきことの一つでした.
参加者数は正確にはわかりませんが,基調講演などの際の参加者数から察するに,
300人程度と思われました.3日間で150のプレゼンテーションが予定されており,約
5つの部屋で並列してセッションが行われました.ヨーロッパの参加者が若干多かっ
た印象ですが,世界各国から参加者がありました.日本からは,私一人の参加でし
た.
□発表
私は,宿泊施設の公式ホームページを収集するシステムについての発表を予定
していました.発表は,2日目の27日午前の予定だったため,体調を考慮の上,
1日目の様子を見て夜に練習をしようと考えていたのですが,朝の基調講演を終え
て,事務的な注意事項の説明を聞いていると,最新のスケジュールが外にあるから,
手にするように,と言っています.コーヒーを飲みながら,この最新スケ
ジュールに目をやると,びっくり.私の発表が次のセッションの3番目の発表
に変更になっているではありませんか!!あと発表まで1時間ほどしかいない.
コーヒーを飲んでいる場合ではない,ということであわててパソコンを開いて
練習を始めるはめになりました.そんなときに限って,中国からの参加者に
話しかけられ会話をしていましたが,頭はパニック状態でした.セッションの
3番目に何とかぎりぎり間に合ったのですが,準備不足もあって若干不本意な
発表となりましたが,その後の議論を聞くと,内容は十分理解してもらえた
ようでホッとしました.
発表を終え,質問時間になると,大変良いアイデアだ,自分も困っていたという
人から,日本以外に適用したのか,という質問をもらいました.海外の
サイト向けには理論的には可能ですが,実際にはかなり困難な点が多くあります.
日本語を使用しているサイトに比べて,英語のサイトのが多すぎる点が最大の
難点でしょうか.
□他の発表
発表者は大学関係の研究者がほとんどであったように思います.ただし,聴衆者は,
大学関係ばかりというわけではなく,観光産業に関わる方も参加していたようで,
これらの方々の関心の深さにはちょっと驚きました.かなり真剣に話を聞いて
いますし,積極的に質問もしていました.参加費として7,8万円ほどを払って
いることもあるのかもしれません.並列して5つのセッションが進行している
ので,どのセッションを聞くかで印象が違うかもしれませんが,私が参加した
のは,主にmobileなどの通信機器と観光,インターネットなどを利用した観光に
関する分析やツールの開発に関わるものでした.
特段,すばらしいと思える発表もなかったのですが,世界各地での観光に関する
取り組みを知ることができた点は有意義でした.中でもPDAを用いて,レストランを
推薦するシステムはなかなか興味深かったです.自分の好みの料理のタイプ
(イタリアンとか,中華等)をあらかじめ入力しておいて,現在位置から周囲
何メートル以内にあるレストランを表示してくれます.表示するレストランを
絞り込むためのフィルタが用意されており,値段がどれくらいからどれくらいまで,
現在位置からの距離,等について範囲を自由に選択して,表示するレストラン
を絞り込むことができるようになっています.ただ,レストランのデータベースが
どの程度しっかりしているか(メニューや営業時間,定休日等),個人にカスタマイズ
する方法などはかなり未熟そうで,その辺が大きな課題のように思えました.
面白かったのは,このシステムを以前に開催された別の国際会議の参加者に実際に
使ってもらうという実験をしていたことでした.会議のスケジュールなどの情報も
随時取り出せるようにシステムを作っていたようです.皮肉にも,こちらの会議
スケジュールの情報提供については,かなり評判は良かったということでした.
他にもWebサイトの情報を効率良く検索するためにキーワードを補助する話や,
中国での観光情報サイトを徹底的に分析して地域的な違いを見る,といった
興味深いものもありました.一方で,概念的なことが多く,何を目指して何
ができたか,といった点が不明瞭な発表も多々あり,当たりはずれがあるな,
といった感想です.
□カイロ
カイロは人口が1,200万人とも言われる都市で,アフリカではかなりの大都市なの
だろうな,という印象でした.何しろ,一番驚いたのは,人の数と車の数の多さで
す.
車は運転が乱暴ですし,信号もあまりなく,交通規則などもあるのだろうか,という
くらいでした.ホテルの部屋にいてもクラクションの音が絶えず聞こえてきました.
会議の行き帰りはバスで行くのですが,朝8時に出発する行きは15分で到着した
のが,帰りの夕方になると大渋滞で1時間30分かかったときもありました.この
帰りのバスは何かのアトラクションに乗っている感覚です.わずか数センチまで
迫り来る車の数々,クラクションの嵐,その隙間を人がぎりぎりのところで
道路を横断していく,車の事故でけんかが始まる,などなど.
食事については,ホテルに閉じこもりの生活でホテル内でほとんどすませたので,
エジプト料理については何も情報がありません.物価は非常に安く,現地の人が
良く行くコシャリ(ご飯みたいなもの)屋さんでは,1杯40円程度で食べられる
ようです.ホテルで高級そうな中華などに行っても,1,500円程度という感覚
です(もちろんホテルなので高いです).
□おわりに
エジプト,カイロの会議への参加ということで,ピラミッドは見てくるぞ!と
意気込んでいたにも関わらず,ピラミッドどころかほとんど出歩くことができずに
ホテルに閉じこもりの日々でした.それもこれも自分の健康管理のふがいなさが
原因と反省しております.
「あー,今,ピラミッドやスフィンクスのわずか2,3km手前にいるのになー」,と
思いつつもどうにも動かない体を思うとあきらめざるを得ませんでした.
まあ,また今度エジプトへ来るときの楽しみを残しておいたと思って良しという
ことにします.
(おわり)
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