No.148
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■ 観光情報学会 Mail NEWS ■
━━━━━━━━━━━━ www.sti-jpn.org ━━━ 2011.8.24 No.148
■ 第8回観光情報学会全国大会 ルポ その2 口頭発表編
少々時間がたってしまいましたが,観光情報学会Mail NEWS No. 143
(2011.6.23配信)に引き続きまして,平成23年6月11日,北海商科大学
で開催されました,第8回観光情報学会全国大会つきまして,今号では
「口頭発表」を中心に報告します.口頭発表は,午前の部が13件,午後
の部が8件,計21件の発表がありました.その中から幾つかの発表を紹
介したいと思います.
NTT未来ねっと研究所の中園氏は,高齢難聴者,聴覚障害者や外国人
等,音声によるコミュニケーションを自由に行えない人たちを対象とし
て,コミュニケーションする手段を実現することを目標とした,携帯情
報端末上で動作するコミュニケーションエイド,VUTE(Visualized Uni
versal Talking Environment)の開発について発表されました.VUTEは
携帯情報端末上で動画ピクトグラムを表示することができるため,漫画
的表現,手話による表現,絵記号のアニメーション等により,通常の静
止画によるピクトグラムよりも,ユーザーの理解度の向上が期待できる
とのことでした.
首都大学東京大学院の池田氏は,地球規模で行われている位置情報を
利用した宝探しゲームである「Geocaching」,そして,諏訪大社におけ
るアニメの聖地巡礼行動を事例として取り上げ,観光客による観光地の
魅力形成の可能性について発表していました.同じく首都大学東京の川
瀬氏は,GPSを用いた来園者行動調査を多摩動物公園にて行い,合計190
の有効なGPSログを取得,あわせてアンケート調査を行ったそうです.そ
の調査の情報をもとに分析を進めた結果,40歳代の男性が社会的な群れ
をなすサルやオオカミの動物の展示に長期滞在したり,小さな子ども連
れは休憩施設等動物展示以外の場所に長期滞在したりする等,性別や年
齢,同行者により観覧行動に差が生じていることが分かったと報告され
ていました.
北海道大学の浅木氏は,観光行動における認知距離と情報提供効果に
関する研究と題して発表され,北海道内の札幌市から各地域までの距離
がどのように認知されているかについて,認知距離はすべての人が近郊
の地域ほど距離を実際より長く認知していること,そして,北海道に3
年から5年在住で北海道内の距離を正しく認知できるようになること等
について報告されていました.また,観光力の高い地域ほど,口コミ情
報による情報発信が興味関心の変化と関わりが深いことが分かった等,
私たちが普段,北海道観光についての感じていることを,調査によって
定量的に明確にされていたことが印象的でした.
第8回全国大会より,優秀な研究発表に対して表彰が行われることに
なりました.今回の全国大会では,「大会優秀賞」に「観光開発のヒン
トをブログ記事から得るための支援技術 ~SVMを用いる場合~」と題
して発表されました,鳥取大学大学院工学研究科の徳久雅人氏,「大会
奨励賞」に,「観光案内板の評価と検証 ~大通駅から時計台までを例
として~」と題して発表された,北海商科大学観光産業学科の宮沢直斗
氏に賞が贈呈されました.
徳久氏は,ブログ記事の中から観光地の開発案につながる文(ヒント
文)を自動抽出するための試みについて発表され,従来手法よりもヒン
ト文の含有率を高めることができる,教師あり学習であるSVM(Support
Vector Machine)を用いる手法について報告されました.宮沢氏は,
旅行者に対する情報提供の実態調査・分析の研究の一環として,札幌市
の交通の拠点である地下鉄大通駅から観光名所の時計台への案内を取り
上げて調査分析を行い,問題点の指摘と改善方法の提案を行いました.
案内経路の評価と分析にはFISM構造モデリングとAHPを応用して手堅く
分析している一方で,提案の中には,「個性(ゆるキャラ,萌え系等)
を取り入れた案内板を製作してみる」といった学生らしい視点も盛り込
まれていたことが印象的でした.
全国大会に参加すると,観光情報学が如何に幅広い多様な分野である
かということを再認識させてくれます.8月27日にも金沢星稜大学にて
第3回の研究発表会も開催されます.研究会でも様々な研究発表が予定
されておりますので,是非足をお運び下さい.
■ 第8回観光情報学会全国大会 表彰者 (敬称略)
<大会優秀賞>
徳久 雅人 (鳥取大学大学院工学研究科)
「観光開発のヒントをブログ記事から得るための支援技術
~SVMを用いる場合~」
<大会奨励賞>
宮沢 直斗 (北海商科大学観光産業学科)
「観光案内板の評価と検証 ~大通駅から時計台までを例として~」
詳細:http://www.sti-jpn.org/award
■ 観光情報学会 第3回研究発表会
日時:2011年8月27日(土) 10:30-18:00
場所 金沢星稜大学(石川県金沢市御所町丑10番地1)
http://www.seiryo-u.ac.jp/index.html
詳細:http://www.sti-jpn.org/event/500
以上
報告 北海道情報大学 情報メディア学部
情報メディア学科 准教授 斎藤 一
━企業・団体会員リスト━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【団体会員A】
(株)HBA
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(株)日立東日本ソリューションズ
(株)北海道新聞社
札幌総合情報センター(株)
【団体会員B】
(株)喜粋堂意匠研究所
(株)十勝毎日新聞社
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(株)リクルート北海道じゃらん
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