「ワッキーの気ままに"ぶっちゃけ"トーク」-観光情報学会全国大会 各観研発表の巻-
ニセコ観研 主査
ニセコレルヒホテル
脇山 潤
去る3月11日に行われた、観光情報学会の初めての全国大会は、参加者が和気藹々と楽しめる企画で、非常に有意義なものとなりました。
さて、今回はその大会の中でも、各観研の発表について気ままに書きたいと思います。発表は、北は"さっぽろ"から南は"おきなわ"まで現在立ち上がってい る7つの観研がそれぞれの活動報告や想いを述べた(かく言う私もニセコ観研として発表したのですが)訳ですが、その活動内容は大きく2つの大河と一つの支 流に別けることができると思います。(なんじゃ、その分け方は?)
大河の一つは入域客の動態調査等、ハイテク(IT)技術を用いたデータ収集活動。そしてもう一つは入域客に対する直接的なホスピタリティー向上作戦。ついでの支流とは、それらの活動に至るまでの勉強会、つまりニセコ観研のことです。
日本の観光を取り巻く環境は、極めて戦略的かつ客観的データの重要性を理解していない世界であります。(新潟県の越後湯沢のように、その重要性をわかりか つ利用している所もありますが、それは異例中の異例です)それはとりもなおさず"戦略"の重要性を理解していないということでもあります。
データ 集積は、当然入域客の利便性向上やより魅力的な観光地の創造といった、つまりはホスピタリティー向上に繋がってゆく活動の羅針盤となるものです。現在は GPSやIT技術を駆使することで、アンケート等のヒューマンなデータをデジタルなデータで裏づけをとったり、肉付けをしたりと、より信憑性のあるデータ への転化が図られると感じました。次にホスピタリティー向上運動として、幾つかの観研の発表がありました。それぞれの地域でその地域ならではの観光特性や ニーズの違いが感じられ興味深いものでしたが、入域客に提供する技術系のサービス、IT技術やハイテクを利用する・させるものは、お客様の立場にたったも のなのか、単に『いいだろう』という発信者側の技術の押し売りなのかを見極めることが難しい問題ですが極めて重要なことであると感じました。
それぞれの発表全体を通じて感じたのは、ITやハイテクを利用しようとすればするほど、最終的にはその観光地のヒューマンファクター、人間力が問われる、 あるいはキーになるということ。そして実際に重要なのは、確固たるビジョンの策定とそれらの実現の為のデータ集積であり、ホスピタリティー向上といった" 戦略"で、IT・ハイテクはそれらを実現するツールでしかないということを忘れてはいけないということでした。集積したデータを生かすも殺すも、ホスピタ リティーを発揮し、よりよい観光地を創造するのも全て人間ですもんね。でも、最新技術から生身の人間の心までを網羅する学会、観光情報学会ってとても面白 いですね。