アートツーリズムシンポジウム ルポ

アートツーリズム研究プロジェクト 幹事
北海道情報大学情報メディア学部
斎藤 一

平成16年11月5日(金),観光情報学会さっぽろ観光情報学研究会の主催により,モエレ沼公園HIDAMARI(ガラスのピラミッド)1Fスペース1においてアートツーリズム研究プロジェクト推進キックオフシンポジウムが開催されました.

シンポジウムは,北海道において,野外彫刻などの芸術コンテンツと密接に結びついた新しいツーリズム(アートツーリズム)を確立させるべく,そのムーブメ ントの担い手として積極的に参加を希望される,あるいは是非参加を促したい団体および個人の方を対象として,北海道と札幌の芸術的な資産を確認しながら, さまざまな論議を行うという主旨で開催されました.

シンポジウムは,北海道CMC株式会社 新保美輪さんの司会により,観光情報学会会 長であり,アートツーリズム研究プロジェクトリーダである北海道大学 大内 東教授による挨拶で始まりました.挨拶に先立ちまして,先日,心不全により急 死された観光情報学会監事であり,学会の立ち上げから運営までご尽力頂きました札幌総合情報センターの故・坂田昇氏の追悼のために参加者全員による一分間 の黙祷が捧げられました.その後,プロジェクトの主旨の説明がされました.

つづいて,3つの研究事例が紹介されました.私は「オープン ソースを利用した彫刻Webデータベースの開発」と題しまして,北海道彫刻Webの開発状況などを発表させて頂きました.開発にはXOOPS(ズープス) というオープンソースシステムを利用しています.XOOPSを利用することで,野外彫刻写真と地域情報を組み合わせたコミュニティサイトを構築することが できるようになります.

次に,北海道CMC株式会社の日下勇人氏により,「観光向け3DWebシステム」の紹介がありました.航空写真 /衛星画像の実写地図映像を取りこみ,複数の3D 映像コンテンツを融合したブロードバンドコンテンツを北海道の観光ガイドとして利用するデモをして頂きました.

3つ目の事例紹介としまして,北海道東海大学の吉村卓也助教授により札幌市公式観光情報Webサイトである「ようこそさっぽろ」を通して,取材時の談話などを含め,アートツーリズムに関連するコンテンツの紹介をして頂きました.

休憩を挟んで,札幌市観光文化局局長 北野靖尋氏に挨拶をいただきました.また,札幌市の観光振興の取り組みについてお話頂きました.

つづいて,札幌彫刻美術館友の会の橋本先生が編集された仲野氏の野外彫刻写真のスライドをバックにパネルディスカッションが始まりました.コーディネー ターは,シビックメディアの杉山幹夫氏,パネラーには,北大大学院文学研究科の北村清彦教授,PMF組織委員会の竹津宜男氏,㈱JALセールス北海道支社  後藤田美幸氏,観光情報学会の副会長でもある㈱ツアーネットの北山憲武氏をお迎えして「アートツーリズムってなんだろう?」をテーマに,様々な観点で アートツーリズムについてご議論頂きました.アートリテラシー(アートの見方を学ぶこと・あらゆる自分の周りのものをアートとして捉えること)の重要性, これからは客観的でホットな観光情報を発信できる技術が地域にとって重要なことなど,すべては紹介できませんが,プロジェクトを進めていく上で参考となる 重要な意見が盛りだくさんの内容となりました.

お陰様でシンポジウムは大成功で終えることができました.短期間で準備を行ったにも関わ らず,2団体からの協賛,そして,36もの団体からの後援を頂くことができました.後援依頼の件を含めまして,札幌彫刻美術館友の会の方々をはじめ,関係 各位に多大なご協力を頂きました.改めまして感謝申し上げます.本年はいよいよ本郷新の生誕100周年を迎え,アートツーリズム研究プロジェクトも,ます ます活発になります.今後とも,ご指導ご鞭撻を,よろしくお願い申し上げます.

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