新潟県訪問 ルポ
北海道大学情報基盤センター 長尾光悦
平成17年1月17日(月)~18日(火)にかけて,皆様からお預かりした新潟県中越地方地震災害義 援金及び寄せられたアイディアを基に作成した風評被害対策案を新潟県 泉田 裕彦知事にお渡しするために新潟を訪問しました.また,知事訪問以外に,湯沢町助役訪問,ゆざわ観光情報学研究会への参加などもありましたので,この模様 を報告させて頂きます.
17日は,千歳から新潟空港,新幹線で湯沢を目指しました.湯沢に到着すると,ゆざわ観光情報学研究会主査の岸 野様に笑顔で出迎えて頂きました(写真参照).岸野様が経営する大峰山荘にて,資料の調整を行い(写真参照),まず,湯沢温泉旅館商業組合 富井組合長,湯沢温泉旅館組合 長松組合長との面談を行いました(写真参照).ここでは,組合長らから湯沢町の風評被害の現状について報告があり,湯沢町の宿泊施設キャンセル数は新潟県 全体の3分の2にのぼり,11月と12月に関しては,売り上げが対前年度比70%減と大打撃を受け,被害額は約14億円と試算されるということが報告され ました.
今回の風評被害の発端は湯沢町の被害が少なく通信回線が正常に機能したことが影響したとのことでした.湯沢町では,地震発生のショック で1名の方が痛ましいことにお亡くなりになられました.この情報がマスコミにいち早く流れたために湯沢においても被害が甚大であるという誤解を産み今回の 風評被害につながったと考えているとのことでした.この風評被害に対して,湯沢町として取り組んだ対策,更には,被災地域に対するボランティア活動などが 報告されました.このような風評被害対策は,タイミングが非常に重要であり,時期等を間違えると批判にもつながりかねないことなどを実体験から報告して頂 きました.
大内教授からは,風評被害対策への観光情報学会の取り組みや現状分析のためのアンケート調査への協力依頼がなされ,ご快諾を頂きました.湯沢町における風評被害の実態を把握する上で非常に有効な会談でした.
続いて,湯沢町役場へ移動し,湯沢町 池田助役との会談を行いました(写真参照).大内教授から今回作成した風評被害対策案が手渡され,その説明を行いました.また,アンケート調査への協力依 頼と観光情報学会からの有識者の派遣が可能であることが伝えられました.池田助役は,新潟県中越といっても非常に大きな地域であり,実際に湯沢がその地域 に入っているかどうかわからない方が多いため,今回のような被害が行ったと思っている,また対策のタイミングの難しさ,安全宣言をするにしても科学的な根 拠がやはり必要であると述べられました.池田助役には観光情報学会に是非協力頂きたい.何かあれば協力要請をしたいと仰って頂きました.
池田助役との会談後,ゆざわ観光情報学研究会へ参加しました(写真参照).ゆざわ観光情報学研究会は,地元の旅館関係者だけではなく,飲食店など様々な業 種の方が参加しており非常に活発な議論が行われていました.ここでは,大内教授が,観光情報学会,風評被害対策についての講演を行いました.ゆざわ観光情 報学研究会のメンバーの方々にも興味深く聞いて頂けました.また,ゆざわのメンバーの方々からも地元での風評被害対策の取り組みやその効果,マスコミの影 響,旅行エージェントへの対応についてお話があり,活発な議論がなされました.
今回の地震災害で,湯沢町の方々の風評被害対策に対する意識が非 常に高まっており,今後も活発に活動していきたいと言って頂きました.ゆざわ観光情報学研究会のメンバーの方々は皆さん非常に熱心に活動されており,普段 は,議論が尽きず,研究会が深夜まで及ぶこともあるということでした.
明けて18日,新潟県知事訪問のため新潟県庁を訪れました.ま ず,知事との面会の前に取材陣による事前取材が行われました(写真参照).今回の訪問は関心が高く,約40社のマスコミの方々が取材に来ていました.その 後,知事室へ通されました.知事室は非常に広く,取材陣も多かったためにかなりの緊張感が漂っておりました.まず,知事に対して風評被害対策案が手渡さ れ,大内教授からその経緯が説明されました.その後,知事に義援金が手渡され,お礼の言葉を頂きました.知事は最初に,「風評被害を軽減する一番の要所は なんでしょうか?」といきなり核心を付く質問をされ,これに対して岸野主査がマスコミの協力,県における情報発信方法等について説明し,知事にも関心を示 して頂きました.この時,岸野主査にカメラが集中し緊張から汗が噴出していたのが印象的でした.また,知事は県としても取り組みを考えていかなければなら ないと仰っておられました.更に,大内教授からアンケート調査の協力依頼がなされ,最後に,湯沢で行われている100日キャンドルのイベントについての案 内が知事に渡されました.
知事訪問後,大内先生と岸野主査への囲み取材(写真参照)が行われ,その後記者会見会場へ向かいました.記者 会見では,多くの記者の方から,率直な質問がなされ,今後の取り組みの参考となる意見も出ました.会見の時間も非常に長くなり,会見後も数社の記者の方か らの個別質問がされ(写真参照),マスコミの関心の高さを伺えました.
昨年末から今年にかけて皆様から義援金及び風評被害対策アイディ アを募集させて頂き,多くの義援金とアイディアを寄せていただきました.今回の新潟訪問が成功に終わったのも観光情報学会会員の皆様のご協力によるもので す.風評被害対策に関しては,今後も観光情報学会のプロジェクトとして進めていく予定ですので,また,皆様からアイディアを募集させて頂くこともあると思 います.その節は,再度ご協力頂ければと思いますので,宜しくお願い申し上げます.
余談になりますが,私は,新潟県は全地域が豪雪地帯と思っていたのですが,意外にも新潟市内は全く雪がなく驚きました.このような誤認識も風評被害の一つの要因なんだろうと思いました.
最後に,やはり新潟は米どころとあって,ご飯,日本酒,煎餅がおいしいです.お土産に,コシヒカリを買って帰りたかったのですが,重いので断念しました. 次回訪問した際には是非,米を持って帰りたいと思います.また,新潟に行かれた際には岸野主査のおすすめの「ぬれせんべい」を食べてみてください.磯辺焼 きみたいでとてもおいしいですよ!