ルポ 野外彫刻とアートツーリズム-本郷新生誕100年 記念シンポジウム-
北海道情報大学大学院 小笠原 有正(学生会員)
北海道情報大学情報メディア学部 斎藤 一(会員)
平成17年6月11日(土)午後1時30分より,札幌教育文化会館 4階 講堂にて野外彫刻とアートツーリズム~本郷新生誕100年記念シンポジウム~が開催されました.
先ず,主催である札幌彫刻美術館友の会を代表して,橋本信夫氏より挨拶がありました.
シンポジウムは,札幌彫刻美術館友の会 会員の高橋淑子氏のコーディネートで進められました.
道立近代美術館 館長 水上武夫氏より,『アートツーリズムの実践者として』と題して,館長自ら企画・運営を行った,アメリカ西海岸の美術館を周る,まさにアートツーリズ ムの実体験をお話し頂きました.そこから感じたことは「アートツーリズムは芸術の作品だけでは駄目で,食べもの,景色,風土など,いくつかの見所や楽しみ が共存してこそのアートツーリズムではないか!」との,貴重なご意見を頂きました.
5分の休憩を挟んで, 画家の栃内忠男氏に『本郷新の思い出』題して,本郷新,ご本人との貴重な思い出を語って頂きました.また,この場で本郷氏の肉声をテープで再生して頂きま した.語って頂いた本郷新の思い出の中で,栃内忠男氏は彼を師と仰ぎ,親友として語らい,また憧れの存在として尊敬しているような印象を受けました.本郷 新,その人の人間像を触れる時間を頂きました.また,本郷新は芸術家として,また,一個人としても魅力的な存在であることを感じ取ることができました.
続いて,彫刻家の山谷圭司氏に『パリからモスクワへ~「彫刻の道」計画』について講演を頂きました.パリからモスクワにわたっての彫刻の道という計画から アートツーリズムを考える,というお話でした.野外彫刻などは車で走りながら見るのではなく,歩いて野外彫刻までいくことが大切とのことでした.それは アートツーリズムが目的地に行くまでのありとあらゆる要素を取り込んでいるかだということでした.また,野外彫刻は風景や景色の中の一部であるからこそ, ゆっくりと近くまで行ってみることが重要ではないかと語って頂きました.
最後に,北海道情報大学の斎藤一助教授により 『Hokkaido Sculpture Web』について報告を頂きました.Xoops というポータルサイト構築ができるオープンソースのオーサリングソフトで制作した『Hokkaido Scu -lpture Web』は写真の登録・閲覧ができる野外彫刻の紹介Webページであると語って頂きました.様々な工夫や使いやすさを考えられたこの『 Hokkaido Sculpture Web』は,今は札幌彫刻美術館友の会のボランティアのみなさんに情報登録していただいていますが,いずれは一般の人たちに情報登録できるWebサイトも 構築したいとのことでした.また,いずれは野外彫刻だけではなく札幌の観光資源を使った観光支援ポータルサイトを構築したいとのことでした.
その後,本日講演を行った全パネラーへ会場からの質疑を交えたフロアデスカッションが行われました.70名以上の参加者を迎え,大盛況のシンポジウム~でした.