会長退任にあたって

前会長 大内 東

観光情報学会は平成15年9月に設立されて以来、6年間任意団体として活動を行なってきました。そして、平成21年1月15日、特定非営利事業団体観光情報学会として法人化がなされ、NPO法人観光情報学会として活動を開始することになりました。NPO法人として新たに出発した観光情報学会は、法人の特質を生かした様々な事業展開が可能となりました。この辺りの事情については、すでに学会誌に掲載していますので、詳細はそちらをご覧ください。(「観光と情報」第5巻1号、pp.3-4 巻頭言『観光情報学会これまで
の歩みとこれから』 )

私は、この間3期6年間を会長として、幹事・理事を始め、多くの会員の皆様に支えられて学会の発展に努力してまいりました。学会運営上の基本理念を「従来の形式にはとらわれず、常に進化する学会であること」に置き、これに基づき運営を行ってきました。その具体的な結果は、学会の組織形態です。すなわち、X観光情報学研究(略称X-観研)をエージェントとして、それらの融合体であるマルチエージェントシステムとして学会を組織化したことです。

しかも、X-観研の設立や解散は随時可能であるとすることによって、組織の硬直化を防ぎ、動的な組織運営が可能となると判断したことによります。打ち明け話をしますと、この組織形態は、当時私が取り組み始めた複雑系工学の思想を基にしたものでした。

学会設立後は、学術団体としての最低条件である学会誌の発刊や全国大会の実施をはじめ、HPの開設とメールニュースの配信、各種シンポジュウムの開催、海外学術団体との連携など、新しい構想で学会運営を行って来ました。設立したばかりの学会でこのような事業を実施することは想像以上に困難なものでありました。しかしながら、会員の皆様、特に幹事グループの皆様は次つぎと出てくる無理難題とも思われる事業計画に対し、精力的かつ的確な行動により、すべて完ぺきに実現してしまいました。これぞマルチエージェントシステムの真髄であると実感した次第です。

観光に関する学術研究はようやく始まったばかりであるというのが私の率直な感想です。観光情報学会の活動は学術、産業、個人に対して、観光のイノベーションを起こすものと確信しています。今後、ますます重要な役割を期待されることになると思います。

観光情報学会は、日々進化している発展途上の学会です.今後、様々な困難が待ち受けているかもしれません.しかし、会員全員が力を合わせれば困難を乗り切り、更なる発展が可能な学会です.松原新会長を支えて会員の皆様が、それぞれのお立場で一層ご活躍をされますように、お願いと期待を込めて退任の挨拶と致します.

平成21年5月

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