会長就任ごあいさつ

会長 松原 仁

初代会長の大内東先生のあとを受けて会長に就任しました。大内先生には学会発足の平成15年から6年間にわたって会長として(さらにはその前の学会設立準備の時期も含めて)学会を率いていただきました。その間に学会誌の発行、全国大会の開催、国際学会との連携など学会としての基礎を固めることができました。各地の研究会の活動を基盤とする独特な学会運営の形態も確立されました。さらには今年平成21年には念願であるNPO化も実現されました。改めて大内先生に深く感謝申し上げます。

私自身は平成12年に新設の公立はこだて未来大学に赴任して初めて観光を研究の対象として認識しました。公立大学として地元の主要産業である観光に貢献することが求められたのがきっかけですが、手がけてみると非常に興味深い研究対象であることがわかりました。多くの要素を有機的に統合させなければ観光は機能しませんが、これは私の勤める大学の専門の一つである複雑系そのものです(大内先生も複雑系の専門家でいらっしゃいます)。学会の設立直後に函館に研究会を立ち上げて主査として活動してきましたが、その活動を通じて企業、自治体、大学の連携など多くを学ぶことができました。本学会は各地の研究会の存在の上に成り立っているので、各研究会がそれぞれ個性的な活動を活発に進められるように学会として心がけていきたいと思います。またNPO法人として業務を正式に引き受けることもできるようになったので、ぜひ各地の研究会と協力して積極
的に観光情報に関する事業を進めていきたいと思います。

平成20年には観光庁も発足し、日本社会における観光の重要性は増大しつつあります。しかしその一方で日本の観光が置かれている状況は必ずしも楽観できるものではありません。日本人の観光客が中長期的に減り続けることは確実ですし、かといって外国人の観光客を増やすのもそう簡単ではなさそうです。これまでの観光の在り方を見直して根本的な構造改革を進める必要があります。本学会がその過程で大きな役割を果たすことができると思いますし、果たすことが社会的な責務であると思っています。

優秀な初代のあとの二代目は凡庸で三代目に引き継ぐだけの存在になりがちと言われていますが、守りにはいることなく引き続き打って出る会長でありたいと思っています。微力ながら学会の発展に全力を尽くしますので、会員のみなさまには学会の活動にご協力いただけますようお願いいたします。

平成21年7月

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