会長挨拶
鈴木恵二(公立はこだて未来大学)
観光情報学会は、観光と情報の融合による観光関連学術領域の深化、およびその知見を活かしての地域活性化を目指し、学術的かつ実践的な取り組みを進めています。世界的に見れば、この観光と情報に関する学問領域は、地域連携、
データ活用といった取り組みをはじめとして盛んに行われ、それぞれの観光業界へのフィードバックが進んでいる領域
です。
本学会は、そのような世界的状況も鑑み、観光は情報の力で発展させられる学術領域であるとの確信を持って、観光地にWiFiがまだ整備されていない頃からスタートしたものです。設立20年となり、この間、情報技術の発展、普及とともに観光情報に関する様々な先駆的な研究、取り組みを行ってまいりました。観光地情報の提供、観光動向の分析、災害に
伴う風評被害対策、観光資源や新しい観光スタイルの発掘、地域観光産業との連携、外国語対応、人材育成、観光プランの作成支援、観光数理モデルの構築など多岐に渡ります。
近年、インバウンドの増加、地方創生という背景も加わり、観光産業が我が国の主要産業の一つとして認識されるに
至っております。一方、オーバーツーリズムといった言い方に代表されるように、観光における負の側面への対応や、
災害への備えなどに関しても、まだまだ十分とは言い難い状況です。
加えて日本は今、少子高齢化や人口減少など、さまざまな課題に直面しています。しかし、観光情報学を通じて地域
の魅力を再発見し、情報技術を駆使することで、新たな観光の形をさらに創造できると確信しています。そのためにも
観光産業の成長とともに、観光情報学として研究すべき課題、果たすべき役割もこれからさらに進化していく必要があります。
ぜひこの研究領域に興味を持っていただき、その研究進展の一助となるよう、本学会へ参加いただき、活用していただければと願います。