パンデミックの収束に伴い、京阪神地域における観光客数は急増しています。特に京都では、インバウンド観光客の増加に伴い、オーバーツーリズムが深刻な社会問題となっています。一方で、関西北部地域では観光客の集客が不十分であり、地域間での不均衡が顕著です。このような状況を分析し、観光客の地域的・時間的分散を情報技術を駆使して実現することが、アカデミアや行政に強く求められています。

さらに、一過性ではない、持続可能な観光社会を実現することも極めて重要です。地域社会と交通インフラを維持しつつ、多くの観光客を受け入れ、良質な観光体験を提供するための取り組みが求められています。このためには、観光地の魅力を向上させるだけでなく、観光客の行動パターンをデータに基づいて分析し、適切な分散を図る戦略が必要です。

本研究会では、こうした社会背景を踏まえ、行政や産業界との連携を強化し、最先端の情報技術の研究開発を推進します。具体的には、観光客の動態データの収集と解析、観光資源のデジタル化、スマートシティの実現に向けた取り組みなどを通じて、観光地の魅力向上と観光客の分散化を図ります。また、産学官連携の枠組みを活用し、実社会での実装と展開を目指します。